老いた今だから
著 者;丹羽宇一郎
出版社;講談社現代新書
本書は筆者の幼い頃から伊藤忠商事で過ごした記憶、85歳の現在に至る経験とそれを踏まえた読者へのメッセージが書き連ねられています。過去、現在、そして未来と話題は展開していきます。
読者ターゲットは定年前後の方々でしょうか。ふわっとしたイメージしか持ち得ない中年世代に向け、定年後、老後をどう過ごしていくていくか、精神論と具体論を織り交ぜて綴ります。
穏やかな散歩がもたらす時間
本書でこの三つの話題はここかしこに登場してきます。第一章の書き出しはまず散歩です。無理せず体調や気分に合わせた散歩の時間は、心穏やかに過ごしていきたいという思いがあると言います。
朝の散歩がもたらす健康と心の平穏
好奇心から始まる知のサイクル
次に読書です。
著者は実家が書店だったことや、読書家であった父親の影響で、幼い頃から本をよく手にとるようになったようです。
本書では好奇心という表現は使われていませんが、著者の1日は、情報収集、疑問と関心、そして深掘りしていく、という循環で回っているそうです。そして人に話すというアウトプットに繋がっていきます。
シニアになるとインプットの量は増えると思いますが、情報や知識の垂れ流しにならぬよう気をつけなければなりません。よくビジネス書には次のような記述を目にします。
アウトプットをイメージしインプットしていく
インプットしたことをアウトプットしていくことで理解が深まり、知識として定着していく
このインプットとアウトプットの好循環を著者は日常ルーティンで示します。
明日のための振り返り
三つ目は日記です。
やはり1日の振り返りを進めています。文字にして認(したた)める。やったことの記録になりがちですが、そこに気持ちや感情の変化を付け加えることができれば満足です。立派な日記本を作成するのではなく、気軽なつぶやきを気軽に続けることが大事かもしれません。
継続がもたらすシニア生活の穏やかな毎日
本書で語られた数々のアドバイスで共通したキーワードは継続でしょうか。
「会社に出勤して仕事をする」というルーティンワークは、会社が決めてくれています。周りの仲間たちも同じでした。
ただシニア世代になり、意識してこなかった毎日のルーティンワークが突如無くなる毎日をイメージすると不安にもなります。
シニア世代にとって、毎日のルーティンワークを決めるのは自分です。
本書はそんな当たり前のことに気づかせてくれました。
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